動的耐震診断の流れ
動的耐震診断においては、建物と地盤を計測します。調査時間は、建物の計測に約2時間、地盤の計測に約1時間、合計3時間程度が標準です。
又、計測中は起振機や加速度センサーを設置するために、各部屋へ入らせていただく場合があります。
計測対象は、戸建木造2階建て住宅です。鉄骨造、コンクリート造は、木造住宅とは解析方法が異なりますので、対象外となります。
平屋建の住宅は、振動機を梁の上に設置する必要があり、これには危険を伴いますので、対象外です。
また、2階建て住宅でも、建物重心部(ほぼ中央)に2階床面が存在しない住宅については、振動機設置位置がないため、対象外となります。
動的耐震診断を行うにあたっては、計測機器設置位置、建物重心位置、床面積等を算出する必要から、設計図書(平面図・立面図等)が必要です。(精密耐震診断結果もあればお願いします)
地盤調査
垂直型起振機で地震波を発生させ、地震波伝わり方を分析します。
一般に、軟弱地盤ほど地震時の揺れが大きくなる傾向にあります。
調査地の地盤が軟弱地盤かどうか、又、想定される地震が起きた場合にどれくらい揺れるかを算出します。
地盤と建物双方の卓越周期(最も揺れやすい揺れの周期)を算出することで、地震時に地盤と建物がどれくらい共振しやすいかがわかります。
地震波は人体にはほぼ無感で、家が揺れたり近隣に振動が及んだりすることはありません。
報告書では下記のようにわかりやすくグラフにて表示します。
※リフォーム改修後の調査グラフとなっています。
<参考〜「gal」について>
地震の揺れの強さを示すのに一般に使用されているものとして、気象庁が発表している「震度階級」があります。
しかし、これは診断結果として表示するには大まかにすぎること、また、約400gal以上のすべての地震が震度7と表示されることから、この報告書では、地震の揺れの強さ(加速度)を示すものとして、「gal(cm/s2)」を用いています。
以下に、加速度と震度階級との関係を表にしています。
又、地震の規模を表すのに、「マグニチュード」という語が使われます。「マグニチュード」は地震そのもののエネルギーの大きさを表すもので、「加速度」や「震度階級」は調査地での揺れの大きさを表すものです。
ちなみに、兵庫県南部地震(阪神大震災)の地震の規模はマグニチュード7.2、震源から約25km離れた神戸海洋気象台では818galの揺れを記録しています。
加速度(gal) |
震度階級 |
〜0.8 |
0 |
人はゆれを感じない。 |
0.8〜2.5 |
1 |
屋内にいる人の一部がわずかな揺れを感じる。 |
2.5〜8 |
2 |
屋内にいる人の多くが揺れを感じる。眠っている人の一部が目を覚ます。 |
8〜25 |
3 |
屋内にいる人のほとんどが揺れを感じる。恐怖感を覚える人もいる。 |
25〜80 |
4 |
かなりの恐怖感があり一部の人は身の安全を守ろうとする。眠っている人のほとんどが目を覚ます。 |
80〜250 |
5弱 |
多くの人が身の安全を図ろうとする。一部の人は行動に支障を感じる。 |
5強 |
非常な恐怖感を感じる。多くの人が行動に支障を生じる。 |
250〜400 |
6弱 |
立っていることが困難になる。 |
6強 |
立っていることができず、はわないと動くことが出来ない。 |
400〜 |
7 |
揺れにほんろうされ、自分の意志で行動できない。 |